秋風が心地よい3連休。 どこか遠くへ行くのもいいけれど、今回はあえて、自分の住む街・青森をじっくりと歩いてみることにした。 相棒は、いつもポケットに入っているスマートフォンと、首から下げた愛用のカメラ。

普段、車で通り過ぎてしまう道を、自分の足で、自分のペースで歩く。 レンズを通して見つめると、見慣れたはずの景色が、まるで初めて見るかのように新鮮に映り始めた。

【1日目】八甲田の色彩のシャワー。予期せず出会いと、燃えるようなコントラスト

初日の目的地は、紅葉シーズンを迎えた八甲田山。 意気揚々とロープウェイ乗り場へ向かうと、まさかの「強風のため運休」のアナウンスが…。

計画が崩れ、一瞬途方に暮れた。でも、ここで帰るのはもったいない。 気を取り直して、車で巡れる絶景スポットを回ることにした。

まず訪れたのは、静寂に包まれた睡蓮沼。 風に揺れる水面がキラキラと輝き、燃えるような赤や黄色に染まった山々を映し出す。まるで一枚の絵画のような光景に、思わず息をのんだ。

次に訪れたのは、足がすくむほどの高さから絶景を見下ろせる城ヶ倉大橋。 橋の上から眺める渓谷は、まさに錦の絨毯。まだ夏の力強さを残す深い緑と、色づき始めた赤や黄色の葉が織りなす鮮やかなコントラストが、八甲田の雄大な自然を物語っていた。

締めくくりは、広大な芝生が広がる萱野高原。 開放的な空間で深呼吸をすると、澄んだ空気が体中に染み渡るようだった。

ロープウェイには乗れなかったけれど、だからこそ出会えた景色があった。予定通りにいかない旅も、また一興だ。

【2日目】街の息吹を感じて。「青森港くらしのマルシェ」で見つけた新しい景色

2日目は、街の中心部へ。 この日は「青森港くらしのマルシェ」が開催されており、市役所前から柳町通り、本町公園、そして中央ふ頭までが会場になっていた。

淹れたてのコーヒーが香るカフェ、可愛らしいクラフト雑貨など、さまざなお店が軒を連ね、街は活気と笑顔で溢れている。 これまで青森で見てきたイベントとは一味違う、新しい風を感じるこの試みに、なんだか胸が熱くなった。

そして何より新鮮だったのが、「歩く」ことで見えてきた街の表情だ。

いつもは車で一瞬で通り過ぎる柳町通り、木漏れ日が降り注ぐ本町公園、そして鉛色の空と海が溶け合う静寂の青森港。自分の足で一歩一歩踏みしめるからこそ、これまで見過ごしてきた街の素顔が見えてくる。 車窓からの景色は「線」だったけれど、歩くことで「面」として、街の奥行きや温かさを感じることができた。

【3日目】光が街を染める。青森港、魔法の時間との再会

最終日は、再び青森港へ。 狙うは、太陽が地平線に近づき、世界が黄金色に染まる「ゴールデンアワー」。

日が傾き始めると、空の色は刻一刻と表情を変えていく。 オレンジ、ピンク、そして深い青へ。その光を浴びて、ベイブリッジやアスパムのシルエットがくっきりと浮かび上がる。

毎日見ているはずの港の景色が、こんなにもドラマチックで、美しいなんて。 ファインダーを覗きながら、この街が持つポテンシャルに改めて気づかされた瞬間だった。

感覚から、意図へ。写真と、これからのこと

この3日間、夢中でシャッターを切り続けた。 撮った写真を見返すと、その時の光や空気、感動が蘇ってくる。

今はまだ、「わ、きれいだな」と思ったものを、ただ感覚のままに撮っているだけ。 でも、これからはもっと先に進みたい。 自分が何に心を動かされ、その写真を通して何を伝えたいのか。 『撮りたいものを、撮りたいように撮れるようになること。』それが今のわたしの目標だ。

この青森には、きっとまだわたしの知らない魅力がたくさん隠れている。 これからもカメラを片手に街を歩き、自分だけの「宝物」を見つけていきたい。

もし、毎日が少し退屈に感じたら、カメラやスマホを持って、近所を散歩してみてはどうだろう。 きっと、すぐそこに特別な瞬間が待っているはずだから。

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